10/7 up
秋も、急速に深まり、冬の足音が近付いてきました。
だいぶ間が空いてしまってすみません。
お客様にも「次はいつ(更新)ですか?」と指摘頂いてしまいました。
心を入れ替えてマメに書くようにいたします。

今回は「血統書」というものについてお話をしたいと思います。
そもそも「血統書」というのは、「血統種」である特定の犬種(猫種)を認定している登録団体から発行されます。
こういった団体はJKC(ジャパンケネルクラブ)の様に多国籍・他犬種の登録を行う場合もあれば、日本犬保存会の様に特定の国の犬種に限って扱っている場合もあります。
団体によって弱冠に差はありますが、おおまかな規格・規定はほぼ同一であり、認定をとること(犬種認定)は楽ではありません。
さて、ここで述べておきたいことは、現在「血統書」のある「純血種」の子たちも元々は何かしらの用途の為に改良・改造され続けた「雑交種」であるということです。
その過程で、ある者は美しい外観を、ある者は優れた能力を手に入れ、それに魅了された人間によって、意図的に固定されたものが「純血種」と呼ばれる犬・猫なのです。
ですから、固定種同士で交配すれば、同様な個体が出てくるというのが前提になります。
たまにこれを宝石の鑑定書の様に思っている方がいる様ですが、ニュアンスは大分違ってきます。
時折「血統書付きのいい犬だ」とか「血統書はいらないから安いのがいい」などということを耳にしますが、血統書は団体に入会していれば数千円程度のものなのです。
ですので「血統書」の有無のみで、その犬種として優れているかどうかを判断することは不可能です。

さてここからは「血統書の持つ意味」についてお話します。
元々は認定された犬・猫からスタートする訳なのですが、同一種で交配を続けても多少の違いは出てきます。
例えば同じ日本人でも自分と同じ顔をしている人を見つける事は難しいでしょう。
何代も重ねれば個体差は生じてくるものです。
また近親交配による先祖返りもあるでしょう。
これもある程度は仕方の無い点もあります。
1匹の犬がこの世に存在するためにいる先祖10代遡れば2,400匹の犬が必要となります。
人間で10代でしたらかなりの時間がかかります。
150〜200年位でしょうが、動物では10〜20年で可能ですし、海外から輸入される犬・猫の数を考えてもその中に同一の者が入らないという事の方が難しいでしょう。
ただし、その事で不安になりすぎることはありません。
余程近親交配を繰り返さなければ、このことだけを理由に障害を持つ事もありませんし、そういった事を防止する為に「血統書」があるのです。
皆さんの中にも自分の愛犬・愛猫の子供を残したいと云う方はいるでしょうし、それも当然なことだと思います。
しかし、以前に相談されたことなのですが
「近所にいる別の犬と交配させたところ、子犬の血統書をとる段階で、別の時期に生まれた兄妹だったとわかった」
障害が出るかを気にしての相談だったのですが、正直肯定も否定もできませんでした。
事前に折角お持ちの血統書を拝見すれば気付けることでした。
「血統書」は有無に意義があるのではなく、その内容を知ることにこそ意義があるのです。

さて、前述の話に戻りますが、先日あるテレビ局で「急増デカ○○○」という見出しで「血統書が付いているのにどう見ても違う犬種の様に見える、サイズが大きすぎる」と声高に番組構成をし、騙す人間と騙される人間がいる様に取り上げていましたが、単純に考えれば、良質な相手(この場合雄雌共にカップリングの相性が良いという意味ですが)をブリーディングする人間が考えておらず、購入する側も恐らく、血統書が付けば何でも一緒、という思いがあるのでは、と感じました。

最後に交配等での注意点をもう一点だけ。
同一の犬種で別々の団体の血統書をお持ちという場合にどちらかの団体に移籍できるかどうかを確認しておいてください。
例えばJKCからKCへ、JKCから日本保存会への移籍は可能ですが、その逆はできません。

今回はこれから仔犬・仔猫を購入する人にも、「血統書」はあるけどあまり見たことがないという方にも少し関心を持って頂ければと思い、テーマにしてみました。

次回は「ショーとそれに出ている様なブリーダー」について触れてみたいと思います。
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